登山の予備日が空いたので、せっかくならとブルガリア南西部の小さな町・メルニックへ足を延ばしました。
人口わずか数百人の小さな町ですが、ブルガリア屈指のワインの産地として知られています。可愛らしい家々が小川沿いに並び、どこかのんびりとした雰囲気に包まれています。
街中のお店先には、でました、ペットボトル入りワイン!(笑)
見た目は素朴ですが、味わいは意外としっかり。軽やかなマスカットからコクのある赤、もはやデザートワインのようなベリー系のワインまで種類も豊富で、数本買って道中で楽しみました。しかも1本(1L)500円程度!
街の背後にはサンドピラミッドと呼ばれる、柔らかな砂岩が長い年月をかけて削られた奇岩群が広がっていて、「ここがワインの里だなんてなんだか不思議だなあ」と感じました。

洞窟ワインセラー
まず訪れたのは、町の名物でもある洞窟ワインセラー。背後の砂山を歩いて登ること約10分。おじさんがいる口近くに座っていて、声をかけると中に案内してくれます。岩をくり抜いたひんやりとした空間に木樽がずらりと並び、ワインの香りが満ちています。おじさんの家族が代々ここでワイン作りや、近隣住民のワインを預かり保管してきたそうで、とてもプライドを感じるお話でした。試飲では目の前の樽から注いでくれ、飲み比べができますよ。購入するとボトリングやラベルも貼ってくれました。

ワイン博物館
続いて見学したのは、ホテル・ブルガリの地下にあるワイン博物館。同ホテル宿泊者は無料で見学ができます。ブルガリア各地のワイン文化を紹介しており、昔ながらの圧搾機など興味深い展示も。
もちろん試飲も欠かせません。係りのお姉さんが共産主義時代にはアメリカ在住だったということで英語での会話が難なくでき、ワインのことだけでなく、さっき聖ペトカ教会で見たワンちゃんの生い立ちや、彼女の生活など、短時間ではありながらなかなか中身の深いおしゃべりが弾みました。

VILLA MELNIK(ヴィラ・メルニック)
さらに少し離れた場所ではありますが、近代的なワイナリーVILLA MELNIKを見学。ブドウ畑に囲まれた美しいロケーションで、最新設備の工場内を案内してもらいました。ブドウからワインになるまでの工程を重力の流れに従って上から下へ落としていく方式を採用しているとのこと。ポンプを使わないことで酸化を防ぎ、より自然な味わいに仕上がるのだそうです。説明を聞きながら「なるほど〜」と納得。洞窟を利用したワインセラーを抜けた最後にはもちろん、試飲も楽しみのひとつです。

メルニックのホテル
宿泊は、町の中心にあるホテル・ブルガリ。石造りの外観が可愛らしく、館内も温かみのある木のインテリアで落ち着いた雰囲気です。テラス席からはのんびりとメルニックの町並みと周囲の丘陵が一望できます。スタッフの方も親切でした。館内にはエレベーターがない点は注意です。

メルニックのレストラン
夕飯は、Chavkova Houseで、ブルガリア名物の鉄板料理サチ。鉄板の上でジュウジュウと焼かれた肉や野菜は香ばしく、素朴ながら食欲をそそる味わい。地元メルニック産のワインとの相性も抜群で、こう見えても結構野菜も入っているので、案外ペロリといただけました。英語メニューもあり、お店のお姉さんは英語も通じ、とても気が利く方でした。

ワイン、自然、そして人の温かさ。
小さな町ながら、メルニックにはブルガリアらしい魅力がぎゅっと詰まっていました。