旧ユーゴスラビアのコソボとモンテネグロと、アルバニアの三国の国境地帯を歩く全長約192kmの周回トレイル。情報が少ないので、ならば行くしかない!と、2018年10月後半、実際に踏破してきました!
シーズン
10月後半だと雪も心配されたのですが、今回は運よくほぼ毎日晴天!11日間のうち1日だけ天気が崩れ、2,000mを超えるピーク付近で雪が降りました。10月上旬でも雪が降ることがあるそうで、ベターなのは5~9月です。標高がだいたい1,000~2,000mくらいなので、夏だとやや暑いかもしれませんが、湿度は低いです。
コース概要・みどころ
トレイルの名前にピークスとありますが、ピーク登頂を目的としたトレイルではなく、むしろpeaksのSの部分+Balkansというイメージのほうがぴったりで、バルカンの山々をいくつも越えていくものです。
長いトレイルですので、各場所によって表情・みどころも変わるのですが、そのいくつかをあげてみると、こんなところではないでしょうか。
・アルバニアアルプスとトーチカ
・高地なのに広々とした風景
・ごつごつとした岩山
・手付かずの自然
・のどかな里山
・ホストファミリーとのふれあい
・おいしい食事
・徒歩で国境を越える
難易度
周回トレックの場合、1日平均20km/5~8時間前後x10日の歩行になるので、中級者以上向けです。
3時間程度の里山ハイクや、8時間x1日のデイハイク、3日程度の縦走や、部分的にカットした6日間程度の周回トレイルなどなど・・・難易度や1日の歩行時間・日数の希望に合わせて、一部のみ切り取ることや、コースの変更が可能です。
道路の整備が進み、アスファルト舗装がされている部分や、単調なオフロードなどを、車を使って移動することもあります。
ガイド
コースのマーキングはしてはあるものの、非常に間違いやすい箇所が多々あるので、ガイドは必須です(もしくはGPS)。日本語ガイドはいないので、英語ガイドになります。
ホストファミリーは英語を話す人もいますが、現地語のみの人もいますので、そういった面でもガイド同行がお勧めです。
宿泊施設
基本的にはすべてゲストハウス・ホテル泊で、男女別の相部屋となります。
衛生的ではありますが、お手洗いがトルコ式であったり、シャワーの湯がぬるかったりということはあります。体を拭くウェットティッシュがあると良いかもしれません。
このピークス・オブ・ザ・バルカンズトレイルの施設として認定されるにあたっての教本のようなものがあり、外観は近代的なものではなく牧歌的なもの、インテリアはモダンではなくクラシカルなものを善しとする記載があるので、私たち外国人が描く山岳のゲストハウスの牧歌的なイメージというものは、ある一定の基準で担保されているといえるかもしれません。
食事
3食付ですので、食料は持っていかなくても大丈夫です。朝はパン、きゅうり、トマト、たまご、チーズといった類で、昼も概ね同じで、それらを包んで持っていき丸かじりな感じです。夕食はホストファミリーが作ってくれ、これらにスープやパイ、お肉、サラダなどが付く感じで、地元(というより自家栽培)の食材を生かした郷土料理が中心です。
きゅうり・トマト・チーズが苦手な方は、正直きついかもしれませんので、別途ご自身で好きなものを持っていかれたほうが良いです。
基本的には、コーヒーといえばトルココーヒー、紅茶といえばハーブティーかチャイなので、日本のようなコーヒー・紅茶が良い方は持参したほうがベターです。
お酒は、ビールやラキアは、ほぼどこの宿泊施設でも楽しめますが、ワインは場所によりけりでした。
wifi・携帯電話・電源
宿泊施設でwifiが利用できるところは半分くらいでした。モバイルルーターも持参しましたが、wifiが入るところでは入るが、wifiがないところでは入らないといったように、ほぼ同じような状況でしたので、現実的にはあまり利便性はよくなかったです。
携帯電話の電波状況はそれよりは良いものの、一部つながらないところもありました。
一部の宿泊施設には、電源(コンセント)がなかったり、あっても利用が限られていたりするところもあるので、モバイルバッテリーがあると安心です。
荷物
全行程でポーターをつけることもできるので、体力に自身のない方は、雨具や水などの最小限の装備で楽しむこともできます。ゲストハウス泊の場合には、テントや寝袋などの装備品はなくても大丈夫です。
まとめ
私は普段から山歩きをしているというよりは年に1・2回程度で、これまでの連続歩行は最大3日でしたので、実は初めは、完歩できるかどうか、かなり心配でした。
ですので荷物はポーターにお願いして本当に最小限(デイパック程度)で歩いたおかげもあり、思ったほどつらくはなかったです。
同行者の山男は、20kg程度の標準装備で歩きましたが、トレーニングにちょうどよかったそうです。
ゲストハウスに着けば食事は自分で準備しなくても良いので、シャワーを浴びたり、ベッドで足を伸ばして寝たりできるので、休息・睡眠がしっかり取れているということも大きな要因かと思いました。10月で陽も短かったのもあるでしょうが、毎日7.8時間は寝ていたと思います。普段の生活より健康的かも!?
日本人(アジア人!?)女性でこのトレイルを完歩したのは、私が初だそうです!
さまざまな景色を楽しみながら、地元の人とふれあい、おいしい食事を食べて、日々の喧騒からいったん離れてリフレッシュするには、最高の場所・アクティビティの1つだと思いました。手付かずの自然の中に身を置くと、日々いかにせわしないかが感じられ、実に癒されました。