毎年6月の恒例行事となっているシネマ・ポスト・ユーゴ。旧ユーゴスラビアの映画を紹介するこのイベントに、今年は3回全部行ってきましたので、その感想などを書いてみます。
第1回06/12「どこでもない、ここしかない」
このイベントでは、これまで「旧ユーゴ地域の監督」の作品を扱ってきましたが、今回は初めてそれ以外の作品。監督は日本在住のマレーシア人華僑のリム・カーワイ氏。
「旧ユーゴを舞台」に繰り広がれらる、分かりやすいラブストーリーで、割とアーティスティックな重い作品が多いこのイベントにあって、たまにはこういう違った切り口もありだなと。試しにこのリュブリャーナのゲストハウスに行ってみようかしら(笑)!?
第2回06/21「波紋」
旧ユーゴ解体時のボスニアでの実話に基づくお話。3つのストーリーが交わっていくなど少々複雑なところもあるのですが、映画全体の構成(見せ方)や、細かな描写・心理表現が非常に優れていて、とても考えさせるものがある作品でした。旧ユーゴの当時の様子や、バルカンメンタリティ等の一端を知るのにも良い教材だと思います。個人的には今回の3作品の中でのベストです。
第3回06/29「アンゲラ・ヴォデ」
こちらも実在の人物に基づくポートレート的な作品。とはいえ単調ではなく、彼女のことを全く知らなくてもこの作品を見るだけでその生き方・思想を簡潔に知ることが出来ました。大戦時やその後の旧ユーゴ時代の、反体制的な側面が描かれており、興味深かったです。
全ての会で、作品の上映前には簡単な説明、上映後には解説や監督との討論・質疑応答などもあります。これだけのイベントを毎年企画・実行していくのは大変だとは思いますが、来年も楽しみです。