ご縁があって韓国研修旅行に行ってきました。韓国南部の慶尚南道にある山清(サンチョン)郡と咸安(ハマン)郡を訪ね、人気韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」のテーマである韓国韓方の効果効能を体験し、日本と歴史的に関係の深かった阿羅伽耶の歴史史跡をめぐるものです
大韓航空・バス
今回利用したのは大韓航空KE716/713の成田-釜山線。行きは約3時間、帰りは約2時間くらいと近くて、成田・釜山ともにボーディングブリッジを利用しての乗降だったので、らくちん。座席配置が2-3列とあまり見ない並びです。
釜山空港では、到着ロビーの両サイドに両替やATMがあり、スムーズに現地通貨・韓国ウォンが手に入ります。中央のインフォメーションには日本語のパンフレット類も豊富なので、一度見てみるのがおすすめです。
ほどなくしてバスが来ましたが、とってもラグジュアリー!バス席が飛行機のビジネスクラスのシートをバス内に設置したようなもので、かなりフラットに近くなり、パーソナルモニターではTVが見られたり、USBコンセントがあったり、スマホのワイヤレス充電ができたり。大型バスのサイズで全24席なので、非常にゆったり快適でした。
山清(サンチョン)郡の観光:東医宝鑑村
釜山から西へ約2時間、韓国最高峰ハルラ山(済州島)に次ぐ第2の高峰・智異山を有する山清(サンチョン)郡は、千を超すともいわれる薬草が自生する緑深い山々と清流が織り成すまさに田舎の山里で、韓方発祥の地とも言われます。韓医学を構築した許浚(ホ・ジュン)先生は、人間を4つの体質にわけ、同じ薬でも人によって効果が違うことに着目し、そのような知識をまとめて記した東医宝監(1613年刊行)は、朝鮮イチの医学書として評価が高く、広く日本や中国にも流布し、2009年にはユネスコの世界記録遺産になったそうです。2013年にはここ山清で、韓方エキスポが開催されました。
村一体が一大テーマパークのようで、韓医学博物館を中心に、山清薬草館、韓方気体験場、韓方自然休養林、、エキスポテーマ館、韓医院などさまざまな施設が集まっています。
東医宝鑑村での体験:お灸、温熱ヒーリング、気、薬草
そんな東医宝鑑村では、お灸などの温熱ヒーリングができます。韓国では健康の第一歩はおなかを温め体内の血の巡りを良くすることといわれており、お灸は日本でいう半身浴のような捉え方をされているそうです。暑くなってきたら係りのおばちゃんがちゃんと対応してくれるので、安心ですよ。
亀鑑石、福石鼎、石鏡という大きな3つの岩は、白頭大幹の気が一つに集まるといわれ、韓国でも有数のパワースポットだそうです。韓国人でサッカーベトナム代表を率いている監督も、ここで気を受け願ったあとから勝ちが続いたそうです。
そのほかにも、韓方薬草作りや薬草匂い袋作り、チャングムのような朝鮮時代の御医・医女服体験、一人ひとりの体質に合わせた足湯体験など、いろいろな体験が楽しめます。
東医宝鑑村での食事・お土産・宿泊:韓方薬、薬膳料理、お茶など
そして旅の楽しみといえば、やはり食事は欠かせないですよね。東医宝鑑村内にはお食事処もいろいろとあり、鶏1匹やこの地に自生する薬草人参が入った熱々のサムゲタンや、薬草しゃぶしゃぶをいただきました。どちらもあっさりしつつもしっかりと出汁の味が利いており、寒い冬でも体ぽかぽか。とても美味しく、こういうものを食べ続けていたらとても健康的になりそうです。価格もリーズナブルで、「日本でもこういう店を出したら流行りそうなものの、新大久保コリアンタウンだったら価格が3倍くらいにはなりそうだね」などと言っていました。
食事処だけではなく、お土産を買えるお店もあり、薬草ゼリーやお茶、足湯セットなどが人気でした。
宿泊は村内の山清韓方家族ホテル。部屋は広々としており清潔感もあり、快適に過ごせました。無料wifiや売店もあります。
咸安(ハマン)郡の観光:咸安博物館、末伊(マリ)山古墳群、蓮華パーク、アグヤンエコパーク(岳陽楼)
咸安(ハマン)は、山清または釜山からは1時間強の場所にあります。まずは博物館見学。百済・高句麗と同時期に栄えた阿羅伽耶の王国の歴史が展示されており、日本とも繋がりも説明されていました。とても興味深い展示ですが、基本的に日本語の説明書きはなく、英語では展示物のタイトルのみなので、より詳しく知りたい方はガイド同行がおすすめです。
館内植木鉢の中には、種子の分析の結果、約700年前の高麗時代のものと判明した貴重な蓮華(アラ紅蓮)が植えられているとのことでした。街には蓮華パークもあります。
博物館の背後には、そんな阿羅伽耶の王族の眠る末伊山(マリサン)古墳群があります。その時代の古墳移籍中で最大規模のもので、まだ発掘されていないところもあるそう。累々と広がる古墳群には遊歩道が整備されており、まるでフィリピン・ボホール島のチョコレートヒルズのよう。
お次はアグヤンエコパークへ。見晴らしの良いところにある岳陽楼からは、ナン川(南江)に沈む夕陽をゆっくりと眺めることができました。遊歩道がそれなりにアップダウンがありますので、時間に余裕を持ってあせらずゆっくりのんびり楽しむのがおススメ。
咸安(ハマン)郡での体験:瞑想(ムジンジョン)、乗馬
ムジンジョンは、ムジン・チョサン先生が後進育成と余生を送るために建てた朝鮮前期の質素なあづま屋で、お茶一杯でいつまで考えにふけっていても(良い意味で)キリがないというニュアンスもこめられているそうで、あづま屋の柱には、色々な訓示が書かれています。
そんなムジンジョンでは瞑想を体験しました。床に仰向けに寝そべって目を閉じ、講師の方のいうように意識を持っていきます。自と他は別々の存在ではなく、1つの同じ存在ということを感じてくださいとのこと。手塚治のブッダでも書かれていたようなことが少し分かるような気がしました。そして写真の池の中州にある浮島まで歩くと、それまでは聞こえているようで聞こえていなかった音が耳に入ってくるものです。今回私たちは10分くらいかけて歩いていきましたが、しっかり瞑想をするとなると、なんと1時間くらいかけて歩くそうです!
忙しい現代人には、こんなちょっとしたひとときであっても、自分を見つめ直しほっと一息つく良い休息になるのではないかと思います。
乗馬公園では、乗馬と馬のえさやりを行いました。ここハマンでは、主に済州島から連れられてきた馬の休養・育成などを行っているそうです。きちんとヘルメットとジャケットを着用し、係りの方が手綱を引いてくれての10分程度の乗馬体験なので、初めての方でも安心ですよ。
その後は、お馬さんにニンジンをあげに行きました。馬の目って、本当に澄んでいてかわいいですよね~。馬小屋がそれほど臭わなくて衛生的に保たれているのは好印象でした。
咸安(ハマン)郡での食事:豚カルビ炭火焼肉と冷麺、韓牛クッパ、韓国式納豆(チョングックチャン)
韓国といえばやっぱり焼肉!とてもキレイでおしゃれなお店で豚カルビをいただきました。炭火焼きでも網の周りで煙を吸い取るので、服にはほとんどにおいがつかなかったです。シメの冷麺も美味でした。
結構な席数があるのに、週末は1~2時間待ちもザラという人気店だそうです。
朝は韓牛クッパ村でデジクッパを、お昼は韓国式納豆(チョングックチャン)とナムルご飯をいただきました。
どちらも韓国の人が普段食べているようなお食事で、レストランばかりではなく、こういうお食事もまた思い出深いものですよね。
納豆は、納豆菌を入れずに、洗って煮込んで発酵させるだけという作り方で、日本の納豆のよりネバネバしていません。私は納豆が苦手なのですが、思ったよりは食べられましたよ。豆腐が濃厚でとても美味しかったです。写真に写っている建物の外のカメでは味噌やしょうゆが作られており、そんな香りが漂っています。
咸安(ハマン)郡:ナイトライフ!?
咸安(ハマン)郡では、観光課の次長自らが同行・案内をしてくれました。阿羅伽耶の歴史をとても勉強されている方で、ご自身が講義も行っているとのこと。阿羅伽耶のことは日本書紀や古事記にも出てくるので、それらも読んでいるそう、しかも日本語で!頂いた資料の中にはそんな抜粋もあり、私も日本人としてこれら文献はきちんと読まなければ…!
焼肉と冷麺でおなか一杯になったのにも関わらず、次長のお誘いでほぼ全員そろって、ホテルそばのマッコリ屋へ。韓国ではこうやって飲み食べ続けるのは普通のことで、割とお酒には寛容だそうです。この席で今後のハマンと日本の文化交流で盛り上がったので、近いうちになにかニュースで目にすることがあるかも!?
ハマンの街自体は「無」の街・皆が幸せになる街というように、カラオケやナイトクラブ以外特にこれといったナイトライフは少なく、ごくごく普通の一地方都市であまり知られていないかと思いますが、素朴で飾らない本当の韓国、日本との繋がりも感じられる街だと思いますので、おすすめですよ。
まとめ
東京からは3時間、福岡からだと1時間弱で行けるところにも、まだまだこんなに知らないこと・すばらしい文化や食事、人との出会いがあるのだと、とても勉強になりました。
今、日韓関係はとても冷え込んでいますよね。嫌韓派の人からは「なんでこの時期に行くの?」などといわれもしました。ところが実際は(今回は南部の地方都市の研修ツアーということもあろうかとは思いますが)、一人でふらっとのぞいたお店でも、夜に通りを歩いていても、まったくイヤな思いはしませんでしたし、政治ベースではなくイチ個人ベースでみればむしろ、日韓の友好を望んでいる空気の方を感じました。
私たち旅行業は平和産業・楽しい産業。そんな私たちだからこそ、率先してその地の良いところを取り上げるべきだ、と私は思うのです。