ポーラー・ラティチュード社の南極半島&サウスシェットランド諸島クルーズ(シー・エクスプローラー号/現在はヘブリディーン・スカイ号に名称変更)に乗船してきました!
0日目:2015年11月17日 乗船前日ブリーフィング
乗船前日の18時から、ウシュアイアのホテルでブリーフィングがありました。クルーズ料金にこの日の宿泊が含まれているものは、ブリーフィングはそのホテルで行われることが多いですが、私たちは別手配であったため、ホテルLas Hayasへ。街の背後にそびえる山の山麓、マルティアル氷河へと続く道の途中にあります。早めに行って氷河を見に行こうとしたのですが、けっこうな雪道で断念!
肝心のブリーフィングはというと、これまで事前に聞いていること・書面でもらっている内容の確認といった感じで、特に新しい内容はなかったという印象です。出席は必須ではないので、スケジュール次第で良いかと思いました。
1日目:2015年11月18日 ウシュアイア出航-ビーグル水道-外洋 船内の案内
いよいよ乗船日!
15:30に海岸沿いの「Fin del Mundo」の看板のところに集合です。船はすぐそこなのですが、港湾管理の関係上、個人個人でゲートを通ることが出来ないそうで、バスに乗って船へ向かいます(船会社手配のホテル(今回でいうLas Hayas)滞在の場合は、ホテルからバスが出るそうです)。
部屋はいわゆる探検船・観測船というイメージではなく、大型旅客船を思わせるようなこじゃれたイメージで、広くて快適!
ただ、荒れることで有名なドレーク海峡を渡る船です。揺れで引き出し・扉などが開かないような工夫、家具の固定、コップの滑り止めなどはしっかりしていました。
事前にサイズを伝えてあった上陸用のジャケットやブーツが部屋にセットされていますので、サイズを確認してあわないようであれば、後で交換に来てくれとの事でした。
さっそく船内見学開始!大型客船と違ってすごいなと思ったところは、ブリッジが開放されていること!扉のサインが緑の時ならいつでも入ることができます。航海図や水泡で船の傾きを示す水平器のようなものも見られました。
ライブラリーには南極に関する本だけでなく小説やDVDもあり、部屋に持って行くことも出来ます。
パソコンもあり、フロントで番号の書かれたカードを購入するとインターネットも利用できます(18ドル~)。無線wifiなので、自分のデバイスでも利用できましたが、実際の通信状況は、メールの読み書きには使えるけれど、SNSには厳しいという感じでした。
バーカウンターではジュースが約3ドル~、アルコール類が5ドル~オーダーでき、Today’s Cocktailという日替わりカクテルもありました。脇にはセルフサービスコーナーがあり、コーヒー・紅茶・ココアはいつでも無料で飲め、クッキーなどちょっとしたスナック類もありました。
なので、よほどの飲みたいのでなければ、別途、船内での飲食費はほとんどかからないと思います。
そのほか、ちょっとしたジムやジャグジーもありましたが、利用している人はほとんどいなそうでした。
そうこうしているうちに、17:00頃からは避難訓練が始まりました。船内放送に従い集合場所のラウンジへ。そのまま引き続き緊急時のライフジャケットの着方などの説明があり、その後は、クルーの紹介と続きました。船にはドクターやミュージシャンも乗船しているのですが、彼らも上陸活動時には他のクルーと一緒にアシストをしてくれます。
18:00頃、ついに出航!船長主催のウェルカムディナーまでの間、さきほどの緊急用ジャケットを確認したり、デッキから遠くなるウシュアイアの街を眺めたりして少しゆっくり。
19:30からのディナー、といってもドレスコードは、「少しおしゃれなもの」というくらいの気軽なものでOK。レストランも部屋に劣らずラグジュアリーな雰囲気です。お食事は基本的には、前菜・スープ・メイン・デザートの4コースメニューで、日ごとに変わるメニューの中からそれぞれ好きなものがチョイスでき、ベジタリアンメニューやヘルシーメニュー、グルテンフリーなどもありました。そしてなんとびっくりしたのが、ディナーに限りワインは飲み放題!こちらから言うまでもなくウェイターさんが気づいて声をかけてくれることが多く、サービスもとてもハイレベルです。
でも飲みすぎると船酔いが・・・しかもこれからは魔のドレーク海峡だし・・・と思い、大事をとってベッドに横になりゆっくりしていましたが、思ったより全然揺れず、ぐっすり眠ることができました。
2日目:2015年11月19日 ドレーク海峡南下
この日は終日航海で、ドレーク海峡を南へ。船内ではクルーによる様々なレクチャーがありました(南極の鳥、氷河や氷山、写真撮影など)。ところで、船内言語は英語で、日本語訳や字幕はなし、レクチャーは専門用語も出てくるので、電子辞書などがあると便利かと思います。
航海中には随時、大学と連携した水質調査を行っており、その様子を見学することも出来ました。手の空いているクルーたちはデッキで野生動物を探していて、見つかると船内アナウンスが入るので、多くの乗客がいっせいにその方向へ集まります。
食事の時間になると、船内アナウンスが流れます。朝・昼は基本的にブッフェ形式で、冷たいもの・温かいもの両方あり、種類豊富です。オーダーすればエッグベネディクトも食べることが出来ました。そのほかアフターヌーンティーやセルフサービスコーナーもありますが、ディナーもあるので、ほどほどに・・・。
念のために酔い止めを飲んでいたのですが、全く大丈夫で3食美味しくいただくことができました。
後で聞いたところによると、今回のドレーク海峡南下時の揺れは10段階でいうと2程度だったそうです。良かった良かったと一安心すると同時に、「でも、お客様に話すためには、思い切り揺れてくれたほうが参考にはなるんだけどなあ~」と、喉元を過ぎれば贅沢なことを思ってみたり・・・。
レクチャーや食事、上陸など1日のスケジュールは、今回のツアーではエレベーター脇など目に留まるところに掲示してありました。大型客船のように各部屋に配られるのではないですが、船内アナウンスがこまめにあるので、不便はなかったです。
3日目:2015年11月20日 エイチオー島に初上陸!
3日目も日中は終日航海。午前中はクジラやイルカ、南極半島の歴史についてのレクチャーがありました。
午後は船内にギフトショップがオープン!クルーは今度は販売員に変身です。本当に彼らはこの南極というところが好きなんだなあ~ということを感じる場面も多いです。
そしていよいよお待ちかねの上陸が近づいてきているので、上陸時の手順や諸注意事項、ゾディアックボートという上陸用の小さなゴム製のボートの乗り方などの説明会があり、これは乗員全員必ず参加です。窓の外には氷山も見えてきており、期待が高まります。
その後、南極の生態系保護のため、外部からのものを持ち込まないために、上陸するときに使用するアウター衣類やバッグのクリーニングがあり、荷物を持っていくと、クルーが掃除機でポケットの中まできれいにしてくれました。
ディナーの後に待望の初上陸が出来るとのことで、食事中は期待に話も弾みますが、上陸中はお手洗いに行きたくなったら早めに切り上げて船内に戻ってくるしかないので、ワインはほどほどに・・・(苦笑)。
20:00頃からいよいよ上陸@エイチオー島です!アナウンスが入ると準備をして上陸用ブーツを履いてデッキに並びます。乗客は約80名なのですが、一度には上陸できないので、2組に分かれて先発・後発を順番に繰り返します。組み分けは、利用船室が右側か左側かということなのですが、船の用語でポートサイド、スターボードサイドなどと言ったり、A組・B組といったりして、少々紛らわしい印象です。
実際、自分がどちらなのか良く分からなくて、なんとなく早いもの順になっていた感は否めません。
万が一、誰かを上陸地点に置いてきてしまっては大変なので、乗下船はコンピューター管理されており、クルーがカード式のルームキーをスキャンします。上陸用のゾディアック・ボートはバランスをとるために前後左右の指示された場所に座ります。
ドレーク海峡とは違い、南極の海は信じられないくらいの凪状態なので、小さなボートでも船酔いの心配は全く無し。あっという間に上陸ポイントに到着です。
真っ白な大地と無数のペンギンとの出会いに大感動!静寂の中に鳴き声も響いています。あ~南極って、本当にペンギンがこんなにもたくさんごく普通にいるんだな~!ということを実感!ここではペンギンのほうが主で、私たち人間が訪問者なのです。
実際、ペンギンの5m以内には近づいてはいけないというルールがあるのですが、人間を警戒していないので彼らのほうからそれより近い距離に近寄ってくることも多いです(その場合はOK)。
歩くより泳ぐ方が上手なようで、えっちらおっちらと歩いてはズテっ!と転ぶ様は、とてもかわいいです(笑)。
ところで、この白い雪の上に茶色く見えるのは土ではなくて、ペンギンの糞なのです!なので、独特の臭いがします。そしてそこで転んだりするものだから、おなかが汚くなっていたり(苦笑)。
南極には8種類のペンギンが生息しているとのことですが、今回のクルーズでは、最も多いのがジェンツーペンギン、ついでアゴヒゲペンギン(チンストラップ)ペンギン、そしてたまにアデリーペンギンの3種類に出会えました。
再乗船の際には、デッキブラシと消毒液でブーツに付着した汚れを落とします。ルームキーをスキャンして船内に戻ると温かいココアを用意してくれており、ほっこり~。
約1.5時間の初上陸体験でしたが、真っ白で荘厳な雪と氷の大地、凛とした新鮮な空気、無数のペンギンと、のんびりねているアザラシなど、どれをとっても初めての体験で、それはそれはもう感動でした!
4日目:2015年11月21日 スパート島ゾディアッククルーズ、南極大陸初上陸@プリマベーラ基地
4日目は午前中がトリニティ諸島に浮かぶ1平方kmの小島ダイノー島に上陸予定でしたが、高波で上陸できないため、予定を変更してスパート島周辺でのゾディアック・クルーズ(上陸はなし)となりました。このように南極の旅は天候に左右されるので、予め予定していた上陸地点が変更になることもしばしばですが、クルーはベストな状況・地点を探してくれます。
昨日より風が強いので、波がばしゃんばしゃんとボートに打ち寄せ、体感気温が実際よりも低く感じます。約2時間のクルージングでは、岩と氷が入り組み変化に富んだ地形を小さなボートならではの機動力を生かして自在に進んでいき、迫力満点でした。
午後は、アルゼンチンのプリマベーラ基地付近に上陸。基地自体には入れないものの、ついに南極に浮かぶ島ではなく、南極大陸そのものに一歩を記しました!これで世界7大陸制覇!
氷の上でのんびりいるアザラシや多くの氷山を目にしつつ船に戻りますが、1つとして同じ氷山はなく、風で穴が開いたその奥はさらにブルーの色が濃く、とても神秘的でキレイです。透明な氷が浮いていると、クルーはしばしばそれらを持ち帰り、あとでバーで私たちのグラスの中に入るということがありました。
船に戻り一休みした後、ディナーの前には約30分間のレクチャーがあり、その日の上陸・クルーズで見た野生動物の説明や1日の復習、翌日以降の予習などの話が聞けます。
5日目:2015年11月22日 ダンコ島、ネコハーバー(2度目の南極大陸上陸)
午前中はエレラ海峡にあるダンコ島へ上陸。ジェンツーペンギンのコロニー(宿営地)があり、鳴き声もにぎやかです。島とはいえ起伏に富んでおり、小高い丘に登るとペンギンとともに遠くの山々やぽっかりと静かに浮かぶ船の姿が見られ、とても南極らしい景観です。天気が良かったので、歩いているとそのうちに暑くなってきて、防寒ジャケットを脱いでも大丈夫なくらいでした。この上陸は、約3時間とたっぷりでした。
午後は南極大陸に2度目の上陸!南極半島に深く入りこんだ入り江のネコハーバーです。といってももちろんネコがいるわけではなく、20世紀初めにここに錨を下ろした捕鯨船ネコ号の名前が由来です。
上陸地点では、クルーが事前に立ててくれているポールをルートの目安に散策をします。危ないところではポールが×印に交差して立ててあったり、クルーがいて注意をしてくれるので、必ずそれらに従います。
小高い丘に登ると、今にも崩落しそうな氷河やクレバスの南極大陸とアンドボード湾のすばらしい眺めが広がっていました。
またまた沢山のジェンツーペンギンがいて、よちよち歩いては転んでしまい、そのままおなか滑り(トボガンというそうです)をする子、向かい合って見つめ合っているようなペアなど、そのユニークな行動はどれだけ見ていても飽きないです。
ペンギンは社会性の高い動物で、コロニー(宿営地)を作って生活をしています。これだけ多くの中でも、きちんと自分のつがいの見分けがつき、伴侶とは一生添い遂げるというラブリーなペンギンさん。たまに写真のように上下になってくちばしを重ね上の子は下の子の首の辺りで羽をバタバタとしているペアがいますが、これはやはり求愛活動とのことでした。
ところで、船によっては、オプションでカヤックやキャンプが出来ます。南極海を自分で漕いで氷山や島々の近くまでいけるのはまたとない経験ですが、その代わりに上陸が出来なかったりすることもあります。
キャンプは船で夕飯を食べた後、再度上陸してテントで1夜を明かして朝早く船に戻って朝食という流れです。
今回のクルーズでは、ここネコハーバーでキャンプを行うとのこと、残念ながら私たちは参加できませんでしたが、キャンプ組は急ぎ気味にディナーを済ませ20:30頃出発していきました。
どちらのオプションも人数制限があるので事前の申し込みが必要で、実施の可否は天候など諸条件を考慮してクルーが決めます。