先月に続き、また福島県主催のモニターツアーに参加してきました。前回はアクティビティを中心として、福島県の中部・西部(中通りと会津地方)の視察でしたが、今回は東日本大震災の関連施設を中心として県内東部(浜通り地方)の視察です。
いわき市:いわき震災伝承みらい館
行きは、常磐線の特急スーパーひたちに乗り、いわき駅へ。まずは海沿いの「いわき震災伝承みらい館」へ。館内を見学した後、語り部の方がバスに同乗し、周辺を一緒に回りながら、当時のことをお話しくださいました。とても伝わってくるものがあり、話にひきづりこまれ聞き入っていました。「災害は人の心の隙間に入り込む」という言葉からは、警報に対して油断をしないでちゃんと避難・自分の身は自分で守ることの大事さを、基本ながら改めて呼び覚ますには余りあるものでした。
いわき市:ワンダーファーム
ランチは四ツ倉IC近くの「ワンダーファーム」さんでハーフブッフェ形式で。トマトの温室栽培・加工などを行っており、トマトを使ったメニューやお土産品が盛りだくさん!
オーナーからトマト作りはもちろん、農業をする人がもっと増えるように、収入をきちんと上げて生活していけるように、最高品質の甘~いトマトだけを作るのではなく、「毎日の食卓にあがるものを作る」という考えに基づいて事業をしているというお話を伺うことができ、とても興味深かったです。
食後ながらトマト狩り(試食)もさせていただきまして、品種ごとにいろいろな味や食感があり、おなかいっぱい(笑)
双葉町:東日本大震災・原子力災害伝承館
午後は広野火力発電所・福島第一原発・第二原発を右手にしながら北上して双葉町へ。ここは津波で壊滅的な被害を受けただけでなく、原発事故の影響で帰宅困難区域として2022年8月まで帰還が叶わなかった町。震災前は人口約7,000人でしたが現在でもまだ約100人強。町に病院はなく、ようやく先ごろ町内唯一のコンビニができ、街を元気にしようと駅前を中心とした建物にアート作品が描かれているという場所です。海から700m・津波で家屋がさらわれて平らになった地域一帯にポツンと立つ「東日本大震災・原子力災害伝承館」を見学しました。福島第一原発で放出された放射線量はチェルノブイリの7分の1なのに、IAEAの事故レベルでは同じレベル7になっているのは、福島の場合は、3棟が爆発したことを重要視されたそうです。ただ単に同じレベルだから相当ひどいというのではなく、きちんと事実を伝えて風評被害を払拭していくことも大事だと思います。
そして、展示もさることながら、この「ポツンと感」があるうちに訪れることで感じるものは格段に多いと思います。
浪江町:福島いこいの村なみえ
海からすぐそばにもかかわらず、生徒・職員が避難をして一人の津波犠牲者も出さなかったことから奇跡の小学校と言われる請戸小学校のある街です。宿泊は「福島いこいの村なみえ」のコテージ。このコテージは、避難者の仮設住宅として使われていたものを持ってきたそうです。ここも周辺には何もないので、来る前に道の駅なみえでお買い物するのがおすすめ。浪江町のイメージアップキャラクター「うけどん」は、町のあちこちで見られ、ファンクラブ会員も絶賛募集中だそうですよ。
南相馬市:福島ロボットテストフィールド
2日目は「福島ロボットテストフィールド」の視察。ここは「福島イノベーション・コースト構想」という、東日本大震災及び原子力災害によって失われた浜通り地域等の産業を回復するため、新たな産業基盤の構築を目指す国家プロジェクトの拠点の1つで、陸・海・空のフィールドロボットの性能評価や操縦訓練などを行うことのできる一大開発拠点です。人では危険な場所で作業をするガンダムのようなロボットのミニチュア模型があったり、空飛ぶクルマの模型があったり。日本はロボット技術には優れているし手先も器用なので、この分野では世界をリードしていけるのではないかとは思います。
相馬市:松川漁港、伝承鎮魂祈念館、災害備蓄倉庫
昼食は松川浦のホテルみなとやさん。地魚と自家製お漬物で箸も進みます。何気ない会話からおかみさんの震災体験談をお話しくださり、ここでもまた避難することの大事さ・自分の身は自分で守ることの大事さをお話しされていました。
その後、相馬市観光協会の方がご同行くださり、伝承鎮魂祈念館・慰霊碑や松川漁港を見学。バルカン・コーカサスでも感じることがありますが、新しい建物やソーラーパネルばかりということは、逆にそこがそれだけ破壊されたということ…。
このモニターツアーで最後に訪れた災害備蓄倉庫(相馬兵糧蔵)では、いざ!という時に備え、いかに平時から心がけて物資だけでなく人的資源・信用も確保しておくことが重要かを実践している様子を見ることができました。
最後に…
東京で生活をしていると、最近は東日本大震災の影響を感じることはそこまでなくなってきたし、テレビで見る震災・津波・原発事故の映像にも慣れてきて、2011.03.11のことが遠くなってきているようではあります。しかし現地では全然まだまだ現在進行形で、復興は全然まだまだ道半ばと痛感をしました。この時期、TVで震災の特集が増えますが、ぜひ一人でも多くの方にTVでなくご自身の目で見て・話を聞いて感じてほしいです。そして自身のこととして防災意識を高めて身の安全の確保を!我が家でも備蓄飲食料・用品をそろえました。